(巻頭言でも何度か書いた「伴走型支援」のまつりが開催される。これはその呼びかけ文である。)
「伴走型支援士養成講座」が始まったのは2010年。14年間で1,500人の伴走型支援士が生まれた。「なんちゃって資格」とはいえ現在は日本福祉大学の講座になっており「日本伴走支援協会」も誕生した。
これまで支援の目的が「解決」とされてきたことに対し「伴走型支援」は「つながること」を目的とした。「解決」が重要であることは言うまでもない。家が無い人には家が、仕事が無い人には仕事が必要であることは言うまでもない。だが、問題が「解決」した後、「自立が孤立」に終わる現実も見てきた。何よりも傷ついた人がもう一度立ち上がろうと思えるためには「他者の存在」、つまり「つながり」が不可欠だった。自分が自分の事をあきらめた日に僕のことをあきらめない人がいてくれた。それが何よりも重要だった。「解決ではなく伴走」と先に書いたが伴走型支援は「オルタナティブ(もう一つ別)な解決」とも言える。
8月31日、日本福祉大学名古屋校で「第一回伴走まつりだよ、全員集合」が開催される。これを機に「輝け!日本伴走大賞!」という「賞」を創ることにした。日ごろ現場で「解決」が難しい現実と向き合う支援者の涙と感動、笑いと疲労と喜びを皆で分かち合う企画だ。本人もしんどいが支援者もしんどい。そのしんどさの根底に「解決プレッシャー(絶対に解決しなければならない)」というものがある。以下は、その開催主旨である。
「日々の支援現場において『そう簡単には解決しない』現実と向き合いつつ、今日も奮闘する、中には孤軍奮闘する伴走型支援士の苦労を皆で分かち合い、慰め、励ます機会を創ります。これまで『解決しない』時、やれ『支援員の力量不足じゃないの』とか『ご本人の努力不足じゃないの』などとずいぶん勝手なことを言われることもありました。しかし、そうでしょうか。生きづらさを抱えるご本人もしんどい。支援員もしんどい。それは『人間というものがそんなに簡単な存在ではなく、とても深みのある存在であることの証し』だったように思います。私たちは『人の尊厳』を心に刻んできたように思うのです。誰かの責任にして事柄を矮小化させるのではなく、人の現実から学びたいのです。『支援する側』『される側』。誰かが決めた障壁を取り除き、『相談よりも対話』、『指導よりも対話』を目指し歩んで行きたいと思います。それでも上手くはいかない。時には感情移入し過ぎて、泣き、笑い、もがき、喧嘩もし、それでも『解決しないがひとりにしない』『私はあなたをあきらめない』と踏ん張ってきた伴走型支援とは何だったのか。『結果』『成果』『生産性』をひとまず置いて『人が人を支える意味』を考えたい。『支援とは何か』という答え無き問いの前で呻吟する仲間たちとこれからのあるべき地域共生社会とは何かを問う機会したいと思います。それが『輝け!日本伴走大賞』です。多くの方々がご参加くださることを心よりお待ちしています」
というわけで31日はプレ大賞企画として向谷地生良さん、勝部麗子さん(豊中社協)、そして奥田知志がこれまで経験した体験を涙と笑いと共に真剣にお話したいと思います。どうぞ、ご参加ください。
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