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社会

5/25巻頭言「信じ、弱く、愛し、近づく―この時代を生きるための信仰的課題」

(これは2025年度計画総会の日に為された宣教を補足修正したものです)
➀はじめに
 今、世界は急激に変化しつつある。その「変化」は「期待が高まる」というものではなく「これまでの枠組みが壊れ、先々どうなるのかわからない」という不安を内包する変化だと言える。当然、これまでの世界がすべて良かったなどということは出来ない。しかし、繰り返した無益な戦争を経て人類は少なからず学び、そして「自らのあり方」を模索してきた。公正、公平、自由、平等、多様性、人権、そして尊厳など、私たちは大きな過ちの中でそのような「前提」を合意してきた。しかし、それらが瓦解し始めているように思える。「不安定」で「無原則」な時代になりつつある中で、私を含めて多くの人が獏とした不安を感じているのではないか。
 「自分だけ、自国だけ良ければいい」。そんな他人は顧みない勝手なあり方は、これまではたとえそう思っていても人前で口にするような恥ずかしいことはしなかった。それが今や大国のリーダーの多くが当然の事のように「自分だけ」と主張し、連日それが報道されている。それを日々見る私たちは、それに慣らされ、その「みっともなさ」を感じることも少なくなってきている。これは大変危険な事だと思う。
 このような時代にあって私たちは何を頼りに生きていくのか。私たちが立つべき基盤、戻るべき基地とは何か。私はやはり「信仰」だと思う。この時代を生きるための信仰的課題について語りたいと思う。
②信じること
 第一に「信じること」である。「理解すること」は、私たちにとって重要な事柄である。近代社会は「人間の理性」を土台に構築されてきた。「理性」とは「物事の道理を考える能力であり、その道理に従って判断したり行動したりする能力」を意味する。しかし、肝心の「道理が通らない」時代を私たちは生きている。道理など持ち合わせない指導者たちが好き勝手をしている。これは私たちにとって「理解できない事態」だと言える。何が起こっているのか、理解しがたいニュースで日々が席捲されていく。例えば2025年2月6日BBCニュースJAPANは、次のようなことを伝えている。「ドナルド・トランプ米大統領は四日、イスラム組織ハマスとイスラエルの戦争で荒廃したパレスチナ・ガザ地区について、アメリカが『引き取る』と発言。再建の間はパレスチナ人をガザの域外に移住させると述べた。トランプ氏は、ガザに住む180万人を他のアラブ諸国に移住させ、アメリカが荒廃したパレスチナの領土を『引き取り、開発する』べきだと主張。さらに、ガザ地区から不発弾を撤去し、がれきを取り除きいったん更地にしてから、『中東のリヴィエラ』として経済的に再開発することで『本当の仕事』ができるとも述べた。」
 国の大小にかかわらず主権はその国および国民にある。他の国を勝手に自分のものにし、国民を強制移住させ、そこをリゾート開発することなどありえない。理解不可能、道理無視のことを大国の指導者が「どや顔」で語る。正直訳が分からない、理解不能の事態となっている。                      つづく

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