生きる

8/4巻頭言「ストレスということについて」

 「ストレス」を感じない日はない。「希望のまち入札不落」・・・最近は「ストレス」が行列になって順番待ちをしている感じがする。先日61歳になった。三十代半ばで「潰瘍性大腸炎」発病。人生の約半分をこの病気と付き合っている。「指定難病」ということで当初は少々、いや大分焦った。娘が生まれた直後であり「すぐに死ぬようなことはありませんが、いずれガンに成ったりします」という医師の説明に「娘の結婚式は見られないかも知れない」と勝手なことを考え落ち込んだ(結婚するもしないも彼女の人生ですからそれは勝手な思いですのでミウちゃんすいません)。 「先生、ところで病気になった原因ってなんでしょうか」。一応聞いてみた。「解らないから難病です」。「そりゃそうですが、何かあるんじゃないですか」「まあ、ストレスですかね。あなた何かストレスありますか」と先生は仰る。少々カチンときて「先生は、ストレスないんですか」と尋ねると「ありますね。なんで僕は病気にならないんですかね」と先生。不可解性と不平等性に苦難の本質を見る。
 それからが大変だった。まずは食事。「繊維質の野菜、脂っこいもの、乳製品、バター、香辛料、カフェイン入り飲料、アルコール、冷たすぎるものは全部ダメ。食べ過ぎないこと、よく噛んで食べること、早食いをしないこと」という生活が始まった。サラダ・・・ダメです。カレー・・・ダメです。オムライス・・・ダメです。牛乳・・・ダメです。コーヒー・・・ダメです。焼肉・・・ダメです。お酒・・・ダメです。焼酎は・・・ダメです。ではハイボール・・・ダメでーす。冷たい生ビール・・・絶対ダメ。つまりそういうことだった。「せめてビールを燗つけで」と伴子(妻)に頼んだが断られた。当初薬の副作用にも悩まされ、何よりも頻繁にトイレに行くのが辛かった。下血が続き夕方になると元気が無くなった。
 それで考えた。「こんな生活自体、一番ストレスやんか」。もともと我慢の足らない人だったのだと思う。一年を過ぎたころ「こんなことしてたら病気になる」と一念発起。徐々にではあるが、好きなものを食べ始めた。お酒?当然、飲みましたよ。焼肉・・・これはさすがにと思いつつ、いやあ、おいしく頂きました。食べ放題にも行きました、はい。焼肉については、あれから30年経った今も直後にお腹を下す。しかし欲というものは恐ろしいもので、下すとわかっていても焼肉は食べる。傾向として「お高い肉」ほど下しやすい(どうでもいいが)。もったいない気もするが食べる。そうこうしているうちに「寛解期(落ち着いた状態)」となり薬も卒業した。その後も健康診断で「潜血反応(うんちに血が混ざる)」は出続けたが三年程前からそれも無くなった。治ったとは言えないが自分でも忘れている時があるぐらいだ。
 他の人にはお勧めできない実践だが「ストレスですね」という医師の言葉が今も残っている。どのみちストレスと無縁になれない現代人。だったらせめて自分からストレスを増やすようなことはせず、適当に暮らしてみてもいいのでは(それでも暴飲暴食は注意!自戒!)。決して自暴自棄なわけではない。むしろ逆。自分の人生なのだから自分に正直になることも「健康」の一つだと思う。「健康」を考えすぎてストレスをためる。なんだかなと思う。そんなことを考えていたら焼肉が食べたくなってきた。その前に一杯やるか。ひひひ。
だと思う。

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