【何が問題か】 この国の子どもの貧困率は13.5%と言われています。100人中13人以上が貧困状態にあるということです。ただ、この数値は、「等価可処分所得」という計算に基づいています。単純に言うと世帯の収入(自由になるお金)を世帯人数で割った金額を基に割り出されているのが「子どもの貧困率」です。ですから、子どもの貧困を無くすためには、子どもだけを支援するのでは足らないということになります。「世帯まるごと支援」。そのような支援の仕組みが必要なのです。
「身内の責任(自己責任)」という意識が強い社会で「身内のこと」を誰かに相談することはとても難しい。高齢の親が50代の引きこもり状態の子どもの面倒を見続けている「8050問題」、最近話題となっている子どもや若者が身内の介護をし続ける「ヤングケアラー問題」は、家族がまるごと孤立している現状を示しています。
【ではどうするか】 2013年、抱樸は「子ども家族まるごとプロジェクト」を始めました。目玉となる活動は「訪問型学習支援」です。学校に行けない、子ども食堂にもつながらない、そんな子どもたちの自宅を訪問し、そこで学習支援を実施します。大人(親御さん)は、プライドもありなかなか相談できませんが、「子どもさんの勉強を教えにきました」となると案外受け入れてもらえます。しかし、中に入るとゴミが散乱している、お母さんは病気、お父さんは失業中、など家族全体が困難を抱えているケースが少なくありませんでした。子どもを入口としつつ、「家族まるごと」支援してきました。
家にこもっていた子どもたちも、徐々に外に出ることが出来るようになります。となれば集合型学習支援、さらに登校へとつながります。大切にしているのは「友達や社会とのつながりを創ること」です。
「なぜ、お弁当を作ってあげないの」。そんな疑問が私達の中にありました。しかし、よくお話しを聞いてみると、その親御さんたち自身、子どもの頃一度もお弁当を作ってもらったことが無いことが判りました。自分がしてもらったことが無いことを、誰かにしてあげることは難しいのです。この「相続(お金だけではなく経験として引き継ぎ)が上手く行っていない」という現実を何とか解消できないか。抱樸のスタッフは、親御さんたちと一緒に様々なことを共に体験していきます。例えばお弁当を一緒に作り運動会に行く。抱樸ではそれを「相続の社会化」と呼びます。親から子、子から孫へと相続されることが難しい場合、それを「みんな(社会)で相続を起こす」という取り組みです。
【希望のまちで何ができるか】 抱樸が行ってきた支援を拡充し「子ども家族まるごと支援センター(仮)」が出来ます。子育て、学習や進路の相談、就労支援や福祉制度へのつなぎなど子ども家族まるごとの相談を受けます。学習支援にボランティア登録されている方は50名を超えています。
希望のまち一階のコミュニティースペースには、子どもたちが自由に使える場所を準備しました。そこでは、他の団体と協働で子ども食堂やフードバンクなども行います。希望のまちは、地域を「大きな家族」とするための拠点となります。
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