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社会

6/24巻頭言「参考人証言」その⑤

(2018年5月24日、国会参議院厚労委員会の参考人として証言をしてきた。これはその時の原稿である。当日は、時間切れで全部は話せなかった。)
悪徳なところはキチンと規制すべきだと思います。今回の改正で、「法定の最低基準」をつくり、それを満たさない事業所を規制することになりますが、この「最低基準」の設定には、慎重であるべきだと思います。
例えば「一人当たりの占有面積」を決め、それに満たない場合は、一律生活保護の住宅扶助を削減するようなやり方には反対です。何をもって貧困ビジネスと言うのかの基準を明確にすべきです。
私は、生活支援や就労支援などを実施する、無料低額宿泊所でない、新たな施設が必要だと長年訴えてきました。高度なサービスを提供する一種施設と二種である無料低額宿泊所の間に「1・5種を創る」と、無茶なことを言ってきました。今回の「日常生活支援住居施設」は、この点で大きな一歩であると評価しています。
課題もあります。第一に「日常生活支援」の中身をどのように定めるのか。これに関しては、現場の意見を踏まえた会議の場を国が設定すべきです。
第二に、生活支援に関する委託費用は、サービス内容の実情を踏まえた額であるべきです。先述の通り、私は反対ですが、もし住宅扶助減額が実施された場合、減額と同等程度の委託費用では意味がありません。
第三として、これが最も大きな問題ですが、今回の新たな「施設」がやはり「縦割り」に留まったということです。対象者が生活保護受給者で、しかも生活支援が必要な人に限定されました。「施設」と名称がついていますが、生活支援という委託事業は、利用者個人に設定されるだけで、「施設」という枠組みでの事業委託はありません。
私は、人口減少に向かうこの国において、今後必要となる「居住を伴う施設」は、制度ごとに対象者を限定する従来型ではなく、「誰でも入れる」ことを前提として、サービスは個人に付ける形が良いと考えています。「必要があれば誰でも入れる」と言えども、「誰に生活支援を付けるか」は課題となります。分野を問わず、対象者を認定できるのは、生活困窮者自立支援制度だと思います。今回は、生活保護制度の中に位置づけられた「日常生活支援居住施設」が、いずれ生活困窮者自立支援事業に包摂されることが望ましいことを思います。ただ、縦割りの課題は残りましたが、私は、今回の「日常生活支援住居施設」創設は、大きな一歩だと思います。しかし、これから続く居住支援のこれからからを考えると、この一歩が小さな一歩になるような今後を期待します。
最後に、気になることがあります。それは、最近各地で、困窮者支援や福祉の分野で事業委託における「価格競争入札」の話しを耳にすることです。福祉の安売りは阻止すべきです。競争入札は禁止すべきです。また、単年度契約も問題です。これでは人材は育たず、孤立解消など長期の取り組みは不可能になります。
つづく

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