「希望のまち緊急クラウドファンディング」が始まっている。一億円の目標を掲げ現在進行中。すでに800人以上の方が賛同くださっている。「100人応援団」にも恵まれ魅力的な「リターン(寄付くださった方へのプレゼント)」が並ぶ。抱樸は愛されている。誇りに思う。
四階建て10億円の計画でスタートした。その後コロナ禍、戦争、円安、そして物価・資材の高騰と想定外の事態となり断腸の思いで三階建てに変更、予算も13億円とした。全国からの寄付に加え日本財団からの助成金、さらに銀行融資が決まり予定通り入札出来た。結果は「不落」。厳しかった。再び設計変更予算も入札不落の実態に合わせ15億円以上とした。
当初の計画から実質1.5倍以上の建築費となる。当初100円程度だった為替レートが円安で150円以上となったことからすると1.5倍は仕方ないのかも知れない。ある社会福祉法人では予算が2倍近くなり工事が止まったとも聞く。
これまでいくつかの「施設」建築をしてきた。時にこんな声が届く。「ホームレスや困窮者、障害者にそんな贅沢なものが必要か」。抱樸館建築時もそうだった。あの頃首都圏では「無料低額宿泊所」の「貧困ビジネス」が問題となっており「相部屋・多床室」で荒稼ぎをしていた団体もあった。抱樸館は新築、全室個室、介護事業やレストラン、ボランティア事務局など併設する施設とした。借金をしての建築だったが多くのご支援を得て10年以上滞りなく返済できている。「無料定額宿泊所」に新しい風を吹き込んだと言える。
「希望のまち」が実施する「救護施設」の国の基準は「一人3.3平米以上、一室4人以下」である。この基準で定められた国の補助金にその2倍の自己資金を上乗せしても10億円以下で済む。しかし、それでいいのだろうか。僕はこれまで「自分が住みたいと思わない施設・建物は建てない」と思ってきた。福祉施設を運営する者として僕はそうありたい。今回は「全室個室。一部屋約11平米」を確保する。設計は日本を代表する建築家である「手塚建築研究所」が担当。一階には地域の方々が集う大ホール。ミシュラン・ビブグルマンシェフである伊藤一城さんの店も入る予定だ。救護施設の食事も伊藤さんが担当される。
「希望のまち」は困った時に行く場所ではない。なにげない日常の空間である。相部屋ではなく全室個室にしたので鍵の管理が個々人で可能となり施設の中に地域の方々が入りやすくなる。目指すのは「地域の中に施設がある。施設の中に地域がある」と言える空間。
結果15億円以上になってしまった。さて「贅沢か」。個々人で判断していただきたい。僕は「福祉は最低限」ということではいけないと思っている。「福祉こそこれからの社会のあるべき姿。目指すべき社会の基準を示すもの」だと思うのだ。「ホームレスだから、困窮者だからこの程度」ではなく、苦労して生きてきた人が「生きていてよかった。ここに来てよかった」と思えるものにしたい。地域に暮らす人々が大きな家族のように生きていく、その拠点が「希望のまち」である。
「贅沢」。そう、確かに「これまで」に比べればそうかも知れない。しかし希望のまちは「これから」を示すものでありたい。「贅沢な計画」をご理解の上、応援・ご参加を賜れば幸いである。
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