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4/12巻頭言「神様が与えた視力-かんじんなものは見えない」

新型コロナウイルスの世界の感染者数が170万人を超え、死者は10万人となった(2020年4月11日未明)。この間、わずか8日で感染者数は倍増した。日本も「緊急事態宣言」が発令され、福岡県を含む7つの府県が指定された。経済活動にも大きな影を落とし始めている。アジア開発銀行(ADB)は、新型コロナウイルスによる損失は4兆1,000億ドル(約444兆円)に達すると予想している。これは世界のGDP(国内総生産)の5%に相当する。
私達は、今、「見えない敵」に怯えている。恐怖は人を支配し、ついには「見えないもの」が見え始まる。それは闇に「お化け」を見た子ども時代の体験に似ている。怖がると怖がるほど、お化けは大きくリアルになった。
「見えないものが見える」という能力は、厄介でもあるが、希望でもある。サン=テグジュペリの「星の王子さま」の中にこんな一節がある。「『さようなら』と、キツネがいいました。『さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ』『かんじんなことは、目には見えない』と王子さまは、忘れないようにくりかえしました。」この言葉をかみしめたい。私達を脅かす「見えないもの」を見ようとするのではなく、今こそ、私達を生かす「見えないが、かんじんなこと」を見るべきなのだ。それを「心で見る」ことができれば、私達は生きることが出来る。
希望、愛、信頼、絆、勇気・・・・そういった「かんじんなもの」も、目には「見えない」。それを見るのは実は「難しい」ことではない。神様は私達に「信じるちから」を与えてくださった。そう、「心で見る」のだ。怯えることも、安心することも、「見えないものを見る」ことから起こる。だったら、安心できる方を見ようと思う。今こそ信仰の出番だ。絶望に飲み込まれてはいけない。疑心暗鬼になってはいけない。将来に対する希望を失ってはいけない。「見えないもの」には、「見えないもの」で勝負する。
ちなみに「病は気から」は現実だ。感染防止に加え、早急に大規模な経済対策が必要であることは言うまでもまない。だが、それだけでは不安は解消されない。私達の身体を守ってくれる免疫細胞に「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」というものがあるが、ある調査では「精神的に安定している人」と「不安定な人」では、NK細胞の活性が倍になることが解っている。逆に不安やストレスが私達の免疫力を低下させる。
あなたは「見えない何を見よう」とするか。「見えない敵」を注視するのか、あるいは「かんじんなもの」に集中するのか。今回の事態を乗り越えるには、そんな「神様が与えた視力」が必要なのだ。
「わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである。」(コリント第2の手紙4章)。アアメン。

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