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■どこから、どのように資金を集めるか?

助成金申請のコツを中心とした、資金調達の基本です。

資金の問題はとても深刻
経済企画庁が1999年度に発行した『特定非営利活動法人の活動・運営の実態に関する調査報告書』の中では、NPO法人および法人格を持たない市民活動団 体ともに、年間の収入総額が200万円未満のところが最も多く、特に、後者の市民活動団体では、全体の84%に達しています。

東京ボランティア・市民活動センターが1998年に実施した『市民活動団体の実態およびニーズ調査』においても、活動をすすめる上の課題では、「活動資金 の調達に関すること」が最も多く、全体の65%の団体が問題としてあげています。資金がないために、「活動・事業が継続できない」「スタッフが雇えない」 「事務所が借りられない」「コンピューター等の事務用品が買えない」……。調査票に記された資金の問題はとても深刻なものでした。

こうした状況を克服するために、活動資金の確保について市民活動団体が考えるべきことはどのようなことなのでしょうか。

牛からどうやってミルクをもらうか?
米国の環境保護団体、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)ラテンアメリカ・カリブ海地域のマーケティング・アウトリーチ部部長であるシンディー・パンディーニさんから、資金調達のプロセスについて講義を受けました。

シンディーさんは、「牛からミルクをもらうにはどうしたらいいでしょう?  牛に手紙を出しますか? 電話をしますか?  Eメールを送りますか?  いいえ、ミルクがほしければ、牛に会いに行かなければいけません」という例え話をしながら、資金がほしければ、その提供者に“会ってお願いすること”の大 切さを強調しました。そして、その会いに行くまでの入念な準備と面会後のフォロー・アップを7つのステップに分けて、一つひとつ着実に進めます。

第1段階では、まず、戦略的な計画を立てます。自分たちのミッション(使命)と現状分析をもとに、今しなければならない緊急性の高い事業を選びます。そし て、予算計画を立て、自己資金以外にどれくらいの金額を調達する必要があるのかを明らかにします。第2段階では、資金を提供してくれそうな人や団体を見極 め、有力候補者のリストを作ります。第3段階として、資金提供のお願いの文書(申請書)を書きます(詳細については後述)。第4段階では、その申請書を提 出し、実際に会ってお願いできそうな資金提供者を絞り込みます。そして、相手先の関心事やコンタクトの方法、お願いできそうな金額について十分に調べま す。「こうした会うまでの準備がとても大切であり、多くの時間を費やすことが必要」と、シンディーさんは話します。

第5段階では、絞り込んだ資金提供者や団体を訪問します。「人は、人に対して支援する(”People Give to People”)という法則があるように、自分たちの活動に対して相手の信頼や共感を得られるかどうかが“鍵”です。何度かコンタクトを取りながら、信頼 関係を築き、資金提供のお願いをする絶好の機会を作りだします。この時、こうしたコンタクトの記録を取りながら、組織として共有しておくことも重要です。 そして、第6段階になって、相手に会い、資金提供のお願いをします。シンディーさんは、「ここで、もしも断られたとしても、金額を減らしてお願いする、あ るいは、違う方法がないかアドバイスをもらいましょう」とも話します。資金提供の了解が得られた場合、第7段階では、資金提供者が喜ぶような方法で謝意を 表すことが必要です。そして、最終段階として、資金提供者がそのプロジェクトにかかわりつづけてもらえるように、中間報告や報告などをしながら、コンタク トを取り続けるようにします。

シンディーさんは、豊富な経験に基づくさまざまな“コツ”を伝授しながら、最後に「その組織にかかわる理事、スタッフ、ボランティアの一人ひとりが組織の “外交官”であり、あらゆる機会に活動をPRしながら、支援を集めるという意識を持ってください」と、アドバイスしました。

助成金申請のミステリーを解き明かす
資金調達におけるプロセスの一環(前述の第3段階)として大切なことは、助成団体や企業、行政、個人等の資金提供者に申請書を書くこと。市民活動団体の中 には「何度も助成団体に申請書を提出しても、助成金がもらえない」と嘆いているところも少なくありません。何がいけないのか、そのミステリー(謎)を前述 の研修の中で解き明かしてくれたのが、TNCアジア・太平洋地域の申請書作成者であるローレル・チャンさんです。ローレルさんが昨年1年間に獲得した助成 金は総額3億円にもなります。「申請書を書く技術は学ぶことができます。そして、それを向上させることも可能です」と、ローレルさんは話します。

申請書とは、ある団体から資金提供者(団体)に対して書かれた依頼書のことであり、(1)鏡文(2)要約(3)本文(4)実行計画(5)予算書(6)添付 書類から構成されています。そして最も大切なのが、(2)の「要約」。この中では、事業の達成目標、助成金や寄付が何に必要なのか、団体の紹介、事業の必 要性、社会的影響、受益者について簡潔に書きます。理事会や審査会のように、最後の決断を下す立場にある人たちが読む“唯一”の資料は、この要約である場 合が多いためです。

また、(3)の本文は、「はじめに」「問題提起」「目標と目的」「プロジェクトの概要」「評価方法」「まとめ」という部分から成り立っており、特に「はじ めに」では、自分たちの組織が信頼に値することや、このプロジェクトが自分たちのミッションとどのように合致しているかを説明します。また、「問題提起」 の部分では、取り組もうとしている課題が資金提供者の関心分野や助成条件に沿うような形で書くことが重要です。また、「評価方法」の部分では、事業が成功 したかどうかをどのように見極めるのかについて説明します。

加えて、ローレルさんは、「添付書類には写真や地図のようにビジュアルなものの方が相手にアピールできる」とも話します。そして、ワークショップをしながら、申請書を書くときのポイントを時系列で、表3のようにまとめてくれました。

財源の多様化と自己財源づくり
実際、日本の市民活動団体の多くは、人件費や事務費などの基本的な運営費を自己財源で賄うことが難しいというのが現状です。

前述のシンディーさんは、講演の最後に、自己財源の作り方についてもふれ、米国でも数年前から始まったばかりだというCRM(Cause-Related Marketing)という手法について紹介しました。これは、企業が広報や販売を行うときに、NPOとパートナーシップを組む、という方法です。企業側 はNPOに対して財政的な支援を行い、その見かえりとして企業のマーケティングにNPOの名前を使う権利を有するというものです。例えば、NPOの名前や ロゴを企業のマーケティングや広告に使い、NPOに対してその年間使用料を払うこともありますし、売上の何パーセントかを渡す、あるいは現金と現物の組み 合わせで支給することもあります。このことにより、企業は社会や人々に対して配慮しながら“企業市民”としての役割を果たしているという姿勢をアピールす ることができますし、その企業の顧客も、こうした商品・サービスを買うことによって、社会貢献ができるというメリットがあります。一方、NPO側も現金や 現物を得るだけでなく、企業の持つマーケティングの専門知識を学んだり、その巨大な広報宣伝力を活用することができるのです。シンディーさんは、「NPO の製品の販売についても企業やほかのNPO、あるいは、関心のある地域の人たちに協力してもらいます。また、そのNPOの会員になれば、こうした製品が安 く買えるような仕組みもよいでしょう」と、アドバイスします。

日本の市民活動団体が、今後、その社会的影響力を強めていくためには、財源の確保が大きな課題です。期間が限定される事業には、助成団体からの助成金や企 業・個人からの寄付等を活用し、経常的な経費については、行政からの委託金・補助金を求める方法もあります。しかし、NPOがその民間性を維持するために は、会費収入や事業収益といった自己財源を拡大することが重要です。そのためには、NPOへの税制優遇制度の確立や行政からの公的資金、共同募金などが NPOにも配分される仕組み等が必要であるとともに、市民活動団体が資金づくりの能力を身につけることが、今、切実に求められています。

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